恒例の花見に行ってきた。
今回は見知らぬ人々が増え、Kさんには
「アウェー感が漂ってるね」と揶揄されたが、
まさしく実感はその通りであった。
自宅と職場の往復でしか、アイデンティティーを保てない者は
どこにいこうとも、誰に会おうとも、
ストレンジャーでしかないのである。
井の頭公園の葉桜は美しかった。
花びらが初春の風に揺られて
空気のさざなみの間を、
無軌道にたゆたっているさまが美しかった。
薄桃色の花びらが、ありふれた風景に色彩を添える。
私に見えた光景は淡い過去の一幕であった。
桜もどうしたわけかストレンジャーだったので、
同類のよしみで助けてやった。
蜘蛛の糸のような集いに、
Kさん、Sさんに会えたのは僥倖だった。
二人がいなければ会話が持たなかっただろう。
運がよかった。
酒が入り、アルコールが身体を侵食し、
毛細血管の隅々にまで染み渡るにつれて
身体の機能が鈍重になる。
あわれ。私の肝臓は死んでしまっているのに。
(それほど飲んだつもりはなかったが、今文章を書いている
このときまで、酒が残っている。頭が痛い。)
違和感を携えながら、この花見に参加できたのは
日々の生活に慣れきっている身としては、新鮮であった。
さればこそ、この違和感、異邦人の心境は失うべきものではない。
異邦人同士はわかりあえないからこそ、異邦人なのだ。
葉ざくらや人に知られぬ昼あそび(永井荷風)
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