彼は腕を痛めていたという。足をくの字に曲げて、
半ば永眠するかのように、うめき声とも、叫び声とも言えないような
弱弱しい声で呟くその姿を見ながら、僕は自分の任務を忘れて
しまいそうになった。彼はその偽善的な憐憫の情をさとったのか、
にやりと唇を引き攣らせ、鼻をすすりながら、うめくのだった。
彼の横臥する白い床は、体温で温まりはしない。
-どうですか、話す気になりましたか。
答えは期待していなかったが、儀礼的な問いを与えることは
彼が生きていることを確認する意味でも必要なことだ。
彼はぎろりと僕を睨み付け、一言呟いた。
-あれを、見ろ。
彼は視線を送り、天井の染みを凝視していた。
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