2009/11/22

供述によると

彼は腕を痛めていたという。足をくの字に曲げて、
半ば永眠するかのように、うめき声とも、叫び声とも言えないような
弱弱しい声で呟くその姿を見ながら、僕は自分の任務を忘れて
しまいそうになった。彼はその偽善的な憐憫の情をさとったのか、
にやりと唇を引き攣らせ、鼻をすすりながら、うめくのだった。
彼の横臥する白い床は、体温で温まりはしない。
-どうですか、話す気になりましたか。
答えは期待していなかったが、儀礼的な問いを与えることは
彼が生きていることを確認する意味でも必要なことだ。
彼はぎろりと僕を睨み付け、一言呟いた。
-あれを、見ろ。
彼は視線を送り、天井の染みを凝視していた。

2009/11/19

寝不足

寝不足すぎる。
時間が足りない。どうすれば時間が増えるのか。
昔、馬鹿なことを考えて時間を微分し続ければ
すなわち無限だとか言って、悦に入っていたことがあるが
そんな気持ちだ。時間が増えて欲しい。
眠らないで済む生活を送りたい。

ふと、寂しさを感じてしまった。
不自然に躁になったりする。声が上ずってしまう。
焦点が合わない。
木っ端微塵、竹林孵卵、そして爆発。

2009/11/10

アニマとアニムス

頻繁に夢を見る。
その夢は、
夢に接続したときに、ひたひたと広がり、
あたかも、かつてから存在していたかのような
現実性をもってあらわれる。
永久に年を取らない人々の、壊れたワルツ
じくじくと焦がれ、焼かれ、
このモチーフは幾度となく繰り返された。
各人は、個人に宿る高天原を、
他者と接続しえぬ夢を、
訥々と語るのだ。

2009/11/02

ウィルスの飛沫

目の前でウィルスが飛び交っている。
脳の付け根が痛いのだが。
バファリンといえども、限界はあるのだ。
何故私は、この位置でウィルスを浴び続けているのだろう、
困ったことに。

いきなり血管が切れるのではないか。
メタファーではなく、物理的に。
破裂する意識、破裂する視覚。
色彩揺れるアラハバキ